朝からなんとなく、ユイの機嫌が悪い。
 怒らせるような事をした覚えはない。

 ロイドは恐る恐るユイに尋ねた。


「何かイヤな事でもあったのか?」


 ユイはチラリとロイドに視線を送り、不機嫌そうに口先でポツリと問い返した。


「どんな夢見てたの?」
「夢? 覚えてないが……」


 何か変な寝言でも言ったのだろうか。
 そう考えていると、案の定、ユイが指摘した。


「女の人の名前を呼んでたの。そんなに怒ったら美人が台無しだぞ、って」
「女?!」