家にいる時はロボットを作っているか、モエを構っているかどっちかだ。
 モエがまとわりついている、というのが正解だが。


「モエも学校に行くようになったら、ランシュばかりにつきまとわなくなるわよ」


 結衣は笑ってそう言うと、ロイドを促してリビングに戻った。

 並んでソファに座り、国王が寝酒にと持たせてくれた果実酒をグラスに注ぐ。
 赤くて甘い果実酒は、昔結衣が初めてこの部屋に来た時、ロイドが飲ませてくれたものと同じだった。

 果実酒の味と共に、思い出が蘇る。


「なんか懐かしい。この味も、この部屋も」


 ロイドはそっと結衣の肩を抱き寄せた。


「そうだな。ここにいたのは随分昔のような気がする」