「ねぇ、ごめんなさいは?」
「あれはいじめていたわけじゃない」
「ホント?」
「あぁ。その証拠にママは気持ちよさそうだっただろう?」
「ちょっと、ロイド!」
途端にユイが、背中を思い切り叩いた。
真っ赤になったユイは、ロイドの腕からモエを奪い取りせき立てる。
「変な事言ってないで、さっさと行かないと早く帰れなくなるわよ!」
クスクス笑うランシュと共に、ロイドは渋々玄関に向かう。
家を出る間際、ロイドは振り返って告げた。
「今夜は王宮に招かれているから、何も用意しなくていいぞ」
「……え……」
ユイの表情が一瞬にして曇った。
ロイドは口の端で少し笑いながら続けた。
「おまえもモエも一緒だ。陛下と殿下もご一緒だが、家族で王宮ディナーを頂こう」
「うん」
一変してユイが嬉しそうに笑った。



