満足げに勝利の笑みを浮かべて、ロイドは結衣の手からカボチャパイを奪った。
 結局いつも通り、ロイドの思うつぼにはまったような気がする。
 少しムッとしてロイドを軽く睨む。

 ロイドは片手でパイを持ちながら、もう片方の手でメガネを外した。
 そして素早く結衣の腰を引き寄せる。


「ちょっと! イタズラはやめるんじゃなかったの?」

「やめるとは言ってない。だが、それは夜の楽しみに取っておこう。今はおやつの時間だからな。甘いものを頂くとしよう」


 わけの分からない屁理屈を捏ねて、ロイドは結衣に口づけた。
 イタズラもおやつもロイドは手放す気がないらしい。



(完)