声をかけるたびに聞こえていたロイドの生返事が聞こえなくなり、不審に思った結衣はキッチンから顔を覗かせた。

 リビングは散らかったまま、ロイドの姿は消えていた。

 ロイドの部屋には機械部品の入った箱が、いくつも積み重ねて置いてある。
 片付けるために箱を取りに行ったのだろうと思い、結衣はキッチンに戻った。

 少ししておやつのカボチャパイが焼き上がったので、それを持って再びリビングを覗いた。

 ところがロイドは戻っていないし、片付けた形跡もない。
 結衣はカボチャパイを持ったまま、足音も荒く二階にあるロイドの部屋を目指した。

 大方、何かを取りに来て、ふと目についた機械をいじり始め、そのまま没頭してしまったのだろう。

 結衣も本棚を片付けている時に、ついつい読みふけってしまったりとか、時々そういう事がある。

 けれど朝から何度も言っているのに、すっかり忘れ去られていた事が頭に来た。