身支度を整えて階下へ下りると、ユイはすでに出かけていた。

 ロイドはいつもより遅い朝食を摂り、続いて戸棚のケーキを食べ始めた。

 この四角くて少し堅めのケーキは、パウンドケーキというらしい。
 トッピングと混ぜ込むもので色々なバリエーションが楽しめる。

 今日はクルミの入った生地に、蜂蜜のかかったリンゴが乗っていた。

 ユイの作ったお菓子を食べると、自然に頬が緩む。
 先ほどの嬉しそうな笑顔を思い出した。

 本当に子供が出来たのだとしたら、それはロイドにとっても嬉しい事だ。
 なにしろロイドにとっては、初めて血の繋がった家族が出来るのだから。

 男だろうか、女だろうか。
 まだ出来たかどうかも分からない子供を、ロイドは想像してみた。

 色素はユイの方が、色濃く表れるだろう。
 髪や目は黒っぽくなる。

 男だったら、レフォール殿下に似ているかもしれない。
 ユイがあれだけ、そっくりだから。

 一緒に機械いじりが出来たら、楽しそうだ。