「御意、承りました」


 ポカンとして見とれる結衣の背中を、ロイドが軽く叩いた。
 結衣はハッとして、慌てて返事をする。


「あ、ぎょ、御意」


 王子は頷いてにっこり笑うと、いつもの調子に戻った。


「なんてね。即位なんて、まだまだ先だよ。父上はあの通りピンピンしてるし、僕ももう少し自由でいたいしね」


 返上するんじゃなかったのか、と呆れつつも、本来十七歳の少年とは、そういうものだろうと納得する。


「じゃあ、三ヶ月ぶりの再会を、あんまり邪魔しちゃ悪いし、また後でね」


 そう言って王子は手を振りながら、テラスへ出て行った。