ユイは大きくため息をついて、ロイドに背中を向けると、身体を起こした。


「そんなエロ知識どうだっていいわよ」


 すっかり気が削がれたロイドも、仕方なく身体を起こす。

 ユイは靴を履いて立ち上がった。


「さっさとご飯食べて。私はいらないから、あなたの分しかないの」
「あぁ。そういえばケーキがあるって、ゆうべ言ってなかったか?」


 ユイは再び口を押さえて、顔をしかめた。


「ごめん。甘いものの話しないで。想像しただけで気持ち悪いの。戸棚の中にあるから、勝手に食べて」

「ったく。さっさと病院に行って妊娠か食あたりか白黒付けて来い。喜ぶのはそれからだ」


 ロイドが吐き捨てるように言うと、ユイは目を見開いた。


「え? 喜んでくれるの?」


「本当に子供が出来たんならな。当たり前じゃないか」
「うん。病院に行ってくる」


 嬉しそうに笑って、ユイは寝室を出て行った。