出来上がったお好み焼きを食卓に運び、ソースをかけてロイドに差し出す。

 一口食べてロイドは感想を述べた。


「見た目はチープだが、案外美味いな」
「そう。よかった」


 結衣の横着料理が、「お好み焼き」だとロイドの中にインプットされてしまった。

 ホッと胸をなで下ろしながらも、結衣は心の中で「大阪の人ごめんなさい」と謝った。


「お腹減ってるのに、こんなものでごめんね。量は足りてる?」


 結衣が尋ねると、ロイドはニヤリと笑った。


「足りない分は、後でたっぷりと、おまえで補充するから大丈夫だ」



 数日後、ロイドはホワイトソースの作り方を披露してくれた。

 ところが、材料も火加減も調理時間も、全て目分量で、全く参考にならない。
 なのに出来上がったものは、驚くほどおいしくて、結衣は改めて敗北感を覚えた。



(完)