どこが無邪気で陽気な少年だ。
 今さらのように、結衣は王子の正体を悟る。

 こいつの本質は、とんでもなく狡猾で、したたかだ。
 王もロイドも手玉に取られるのも頷ける。


「……あなた、二重人格でしょう」


 結衣が指摘すると、王子はサラリと言い返した。


「今頃気付いたの?」


 そして王子は、淡い笑みを湛えてロイドと結衣を見つめた。
 その面差しにはどことなく、王と同じ威厳が漂っている。


「ロイド、ユイ。即位した後も友人として、今と変わらず私を支えてくれないか」


 ロイドは返事をして、恭しく頭を下げた。