「ごめん。まだ出来てないの」
「何を作ってるんだ?」
「クリームシチュー」
「まだ煮込んでいるのか? 少しくらい固くてもかまわないぞ」
「それが……ホワイトソースがうまくできなくて、まだ何も……」


 結衣が俯くと、ロイドは結衣から離れた。


「じゃあ、オレが何か適当に作ろう」


 そう言ってキッチンに向かおうとするロイドの腕を、結衣は掴んで引き止めた。


「イヤッ! 私が作るから!」


 ロイドは立ち止まり、結衣を見つめる。


「今からシチューなんか作ってたら、夜中になるぞ」
「何か別のものを、すぐに作るから」