実のところ、これまでは完成していたものの、臨床試験の状態だったらしい。

 国費を投じて研究開発を行ったものは、完成品として認定されれば、開発者のロイドでさえ、勝手に使っていいわけではない。

 もっとも、最終的に完成品の認定を下すのは、局長のロイドなのだが。

 王宮内にマシンがある内に、日本から持ってきたいものは持ってきておけと言われ、結衣は今後必要になるであろう、料理の本と日本の食材、味噌や醤油などの調味料を、実家から運び込んだ。

 マシンが科学技術局に行ってしまった後は、ロイドが個人的に、荷物用の時空移動装置を作ってくれると約束した。

 国王と王子、そして王宮の人々に挨拶をして、ロイドと結衣はラフルールにあるロイドの家に向かった。

 改装前には廃屋にしか見えなかった家が、どんな風に変わっているのかを思うと、結衣はワクワクした。