ムッとして言い返す結衣に、ロイドは平然と答える。


「新婚初夜の床の上で言う言葉だ。そういう意味だろう?」
「……え……」


 エロ学者にかかれば「ふつつか者」もそういう意味で、行き届かない拙い者という解釈になってしまうようだ。

 ロイドは結衣をベッドに押し倒した。


「心配するな。これからは毎晩、おまえが行き届いた女になるように、オレが念入りにメンテナンスしてやる」

「……機械のように言わないで」


 すっかり脱力して、目を伏せた結衣の耳元にロイドは囁いた。


「ユイ、愛してる」


 その言葉と共に落ちてきた口づけで、結衣の胸は一気に高鳴る。

 妙な儀式は、おそらくこれで最後だろう。

 とろけるような甘い口づけに幸せを感じながら、結衣はロイドの温かい腕にその身を委ねた。



(完)