夜、結衣が風呂から上がると、リビングの灯りは消え、ロイドの姿はなかった。

 寝室の扉を開けて、中を覗くと、ベッドの上にロイドはいた。

 布団の上にあぐらをかき、腕を組んで神妙な面持ちで座っている。

 結衣の姿を認めたロイドは、手招いた。


「こっちへ来て座れ」


 いつもと様子が違う事に首を傾げながら、結衣は言われるままに側に行き、ベッドの縁に腰掛けた。

 するとロイドは、眉をひそめて、自分の前、布団の上を指差す。


「そこじゃない。上に座れ。新婚初夜の儀式があるんだろう?」


 まだ何か、蒼太に吹き込まれていたらしい。

 結衣は苦笑して、ロイドに問い返す。


「ごめん。どんな儀式?」