両親から手渡された結婚写真を見て、結衣は苦笑する。

 洋装と和装をそれぞれ二枚ずつ、実家の近所の写真館で撮ってもらった。

 洋装の方は何の問題もない。

 結衣はウエディングドレスとカラードレス、ロイドはタキシードと、カッコよく決まっている。

 問題なのは和装の方だ。

 結衣は白無垢と色打掛で問題はない。
 ところがロイドは、二枚とも手に日本刀を持っているのだ。

 侍のフリをして、おどけているならまだいい。

 見せてもらったサンプル写真には、花嫁をお姫様だっこしているものや、満面の笑顔で抱き合っているものなど、様々なポーズで撮られた写真がたくさんあった。

 けれど結衣とロイドの写真は、二人とも直立不動で微かに笑みを浮かべている、絵に描いたような記念写真なのだ。

 元々、結衣もロイドも刀を持って写るつもりなどなかったのだが、ロイドが着物を着てスタジオに現れた途端、写真館のスタッフが、当たり前のようにロイドに刀を握らせた。