結衣たちも人混みをかき分けて、箱の側まで行った。


「おや、おまえたちも来たのか」


 願い事の紙を放り込んでいると、呑気な声が聞こえた。
 見ると、実行委員の腕章を付けたブラーヌが、箱の向こうに立っていた。


「なんだ、おまえ今年は当番だったのか?」


 ロイドが問いかけると、ブラーヌは頭をかきながら苦笑した。


「毎年上手く逃げていたんだがな。このところずっとラフルールにいるから、たまには当番しろって押しつけられちまった」


 遺跡保護と安全確保のため、大勢の人が集まる祭りの時は、考古学者たちが交替で警備要員として駆り出されるらしい。


「あ、そうだ。ユイさんにこれをやろう」