王宮から遺跡まではかなり距離があるので、結衣たちは早めに夕食を済ませ、夕方の内に王宮を出た。

 日が沈み辺りが薄暗くなってくると、ラフルールの街もお祭りムードが高まってくる。

 商店街には至るところに色とりどりのランタンや青白い竜の飾りが吊されていた。

 商店街を抜け、街を取り囲む古代の外壁が見えてくると、人の数も増えてきた。

 外壁の向こうに続く白い石畳の道は、緩やかに左にカーブしていて、その先に遺跡がある。

 道の両脇には出店が並んでいて、おいしそうな匂いを漂わせていた。

 遺跡にたどり着くと、すでに立入禁止の柵の周りを、大勢の人々が取り囲んでいた。

 ラフルールの遺跡は祭りのためにライトアップされているものの、周りを大きな木々に取り囲まれていて、かろうじて石造りの入口が見えるだけだ。

 絵本の中で竜が地上を見るために身を隠した森を、結衣は思いだした。

 柵の内側、遺跡の入口正面に当たる場所に、大きな箱がいくつか用意され、その中に人々が願い事の紙を放り込んでいた。