「レフォール殿下は?」
「次期国王としては、これしかないでしょう」


 得意げに胸を反らせて、突き出した王子の手には「世界平和」と書かれた紙が握られていた。


「せっかくだから今年は遺跡まで行ってみるか。ソータもいる事だし」


 ロイドがそう言うと、王子が尋ねた。


「あ、じゃあ、お願い事は自分で持って行く?」
「はい。そうします。わざわざ来て頂いたのに申し訳ありません」
「いいよ。僕の分まで楽しんできてね」


 王子は手を振って、ラクロット氏と共に研究室を出て行った。

 企業や団体では、祭りに行かない人のお願い用紙を、まとめて持って行くという。
 王宮も王や王子の分をはじめ、みんなの分をまとめて持って行く。

 ロイドは毎年、ひとりで行ってもつまらないので、行ってなかったらしい。


「いつもは何もない遺跡の周りに出店が並んだりして賑やかだぞ」


 ロイドの言葉に、今から夜が待ち遠しくて、結衣はなんだかワクワクしてきた。