「それに、自分にないものへの憧れとか? 第一、大きい胸は男のロマンだし」
「だよな」


 蒼太の力説に、横でロイドが、すかさず相槌を打った。

 自分にないものへの憧れは結衣にもあるし、結衣にとってもロマンではある。
 妙なところで意気投合する男たちに、結衣は大きくため息をついた。

 夜も遅いので、国王と王子への挨拶は明日に回して、結衣とロイドは蒼太と共に二階へ上がった。

 寝具を借りてロイドの部屋に泊まってもらうつもりでいたら、王子が客室を手配してくれたという。

 結衣は客室に蒼太を案内し、鍵を渡した。
 そしてイタズラっぽく笑う。


「その部屋、幽霊騒動があった部屋なの」
「え? マジ?」


 うろたえる蒼太がおかしくて、もう一言付け加える。