だがこの先、引っ越しなどで忙しくなるし、結婚したらロイドは王宮を出るつもりらしい。

 そうなると王宮内の見学や、国王や王子への謁見も難しくなる。

 それを諭すと、ロイドは渋々了承した。

 ロイドは不愉快そうな表情のまま、結衣に尋ねる。


「おまえ、今日帰ったら何か用事はあるのか?」
「別にないけど」


 結衣の返事に頷いて、ロイドはニヤリと笑った。


「よし。部屋に戻るぞ」
「え? なんで?」

「ソータがいたら二人きりになれないだろう? 次の時の分まで、おまえを味わっておくんだ」

「えぇ?!」


 いきなりの展開に混乱する結衣を引っ張って、ロイドは研究室を出ると自室へ向かった。