「おまえの身体の方が冷たいって、なんか不思議な感じだ」


 結衣は父が照れながら言っていた事を思い出した。

 ロイドは自分の気持ちを明かした後、数え切れないほど結衣に愛してると言った。

 キスをする時には必ず言う。

「初めて」の夜にも、結衣を抱きしめ、何度も愛してるを繰り返した。
 言葉の熱に心が痺れて、緊張も恐れもどこかに飛んでいき、とろけるような幸せだけを感じた。

 結衣が笑いながら父が照れていた事を話すと、ロイドはフッと笑った。


「おまえ、ニブイからな。はっきり言っとかないと」
「お父さんとお母さんは言わなくても通じ合ってるみたいよ」
「オレは言いたいんだ。ユイ、愛してる」


 そう言ってロイドは、顔を近づけてきた。
 唇が触れ合いそうになる間際、ロイドが動きを止めた。