全く思い出せない結衣は、思い切り焦る。


「姉ちゃん、去年高校の同窓会に行っただろ? その時、ずっと一緒にいたいって言ったら、そんなの絶対無理、って断られたって言ってた」


 確かにそんな事があったような気がする。

 雅史とは何度も同じクラスになった事がある。
 家も近いので、ずっと一緒に学校に通っていた。

 蒼太と同じ兄弟のようなもので、仲の良い友達だと思っていた。
 それ以上意識した事はない。

 同窓会の時にも散々昔話をして、それまで当たり前のようにいつも一緒にいた結衣がいなくなって寂しいと言われた。
 結衣も同じだと答えた。

 そして、またずっと一緒にいたいと言うので、お互い別々の会社に就職し、住むところも離れたから、そんなの絶対無理と答えたのだ。


「あれって、そういう意味だったの?」