ロイドは笑顔で挨拶を繰り返した。
 母に促され、家に入る。廊下を歩きながら、ロイドが結衣に小声で問いかけた。


「ハリウッドスターって何だ?」
「外国の映画俳優の事よ」
「オレはそいつに似てるのか?」
「そうじゃなくて、それくらいカッコイイって褒め言葉よ」
「ふーん」


 ロイドは自分の容姿を、特にカッコイイとは思っていないようだ。

 母に風呂に入れと言われ、ロイドに尋ねると済ませてきたという。

 だったら下着の替えはいらなかったんじゃないかと思ったが、日本のお土産として持って帰ってもらおう。

 結衣が風呂から上がると、居間から父の笑い声が聞こえてきた。

 覗きに行くと、蒼太の服に着替えたロイドが父と蒼太と共に、結衣の買ってきたビールを飲みながら談笑していた。

 黒いタートルネックのセーターにジーンズをはいて畳にあぐらをかいたロイドは、なんだか新鮮で、ちょっとドキドキした。