見るからに外国人然としたロイドの、流暢(りゅうちょう)で丁寧な日本語に父は目を白黒させる。

 もっとも、ロイドにしてみれば、日本語をしゃべっている意識はないのだろうが。

 ポカンとしている父に、結衣は笑顔で、コンビニのレジ袋からビールを出して渡した。


「はい、お父さん。お土産」
「あ、あぁ、すまんな」


 父が呆然としたままビールを受け取っていると、奥から母が出てきた。


「ちょっと、お父さん。いつまで玄関にいるの」


 父に文句を言った後、母の視線はロイドを捉える。
 そして嬉しそうに目を細めた。


「こちらが結衣の金髪のカレシ? 初めまして、結衣の母です。ハリウッドスターかと思っちゃったわ」