実家へは高速に乗れば、小一時間もあれば着く。
 ちらりと様子を見るとロイドは、外の景色が飛ぶように過ぎ去っていくのを、驚いたように見つめていた。

 結衣は車内でクランベールやロイドの事と、諸々の経緯を蒼太に話した。

 目の前でロイドが消えたり現れたりしたのを見たせいか、蒼太は一応納得したようだ。


「けど、その話、父さんたちは信じるかなぁ」
「そこなのよねぇ」


 結衣がため息をついていると、蒼太はルームミラー越しにロイドを見つめて声をかけた。


「すみません、ロイドさん。そこにいると後ろが見えないんで、後ろに座っててもらえますか?」


 振り返るとロイドが、座席の間から蒼太の手元を覗き込んでいた。よほど車が珍しいようだ。