鍵を開けて取っ手を引いた途端、結衣は硬直した。
 奥の部屋の灯りが点いているのだ。

 予感がした。

 奥にいるのは、空き巣や変質者じゃない。

 結衣は急いで靴を脱ぎ駆け込むと、奥の扉を開けた。

 部屋の中では、ベッドに腰掛けて頭から毛布をかぶったロイドが、驚いたようにこちらを向いた。

 結衣の姿を認めたロイドは、毛布をはねのけて、ブツブツ言いながら歩み寄って来た。


「なんでこんなに寒いんだ。ちょっと暖を取らせろ」


 そう言って、いきなり結衣を抱きしめた。しかし、すぐに慌てて離れる。


「おまえ、冷たいじゃないか」