「余計なことはするなと言ったはずだ」

「関係ありませんと言ったはずですけど」


 厳しい声、人の話を聞いていなかったのかと言いたげだけど、それは私も同じ。


「俺に仕えるなら俺の意思に背くようなことはするな」


 それはずるい言葉だと思った。

 だから、反抗したくなる。


「あなたには背きません。けれど、私自身の意志にも背きません」

「何だと?」

「あなたを守ることが私達の義務です」


 自分に嘘を吐きたくはない。

 だって、それ以外に生きがいを知らないから。

 朝も昼も夜も、この男と共に始まり、終わると信じていたのに。