「こんなに白狼が傷ついてまで守ってきた物・・・、私には使えないよ・・・。
この石が私以上に必要な人はたくさんいる・・・。
それに・・・。」
私は抱きつくのをやめて、グロテスクに血まみれの左目の近くを撫でた。
「その石は、別に誰か人間のために守らなくてもいいんじゃないのかなぁ・・・。
その石は・・・別に自分自身で使ってもいいんじゃないのかなぁ・・・?
左目が見えるようになってほしいとか、もう追いかけられなくなりたいとか・・・。
他にもあるだろうけど・・・。
白狼自身が使っても、誰も何も言わないと思うよ・・・?」
私がそう話すとまるで人間のように、開いている右目から涙を流していた。
