あの人のことを考えると、 苦しくて愛しくて、 本当に私じゃないような、 知らない感情ばかりが出てくる。 あの人は『いい方向に』変わった、と言っていたけれど。 今までのように、 静かに耐えられない私がいる。 激情が襲ってきて、おかしくなりそうだ。 …ああ、 いっそのこと少し、この激情に身を任せてみようか。 生きていくことだけが希望だった私の、 心から欲しいと思ったものを。 ナタナの揺れた瞳が、目に焼き付いている。