ずい、とルトの前に身を乗り出すと、何処か必死な顔をしたセルシアは、懇願するような瞳で言った。 「連れて行ってくださいっ……!」 「…え?」 セルシアは唇を噛みしめると、驚く私達に、純白のスカートを揺らして、言った。 「どうか…どうか連れて行って下さい。何処か遠くへ…私を一緒に、連れていって」 村で最も誇り高い令嬢は、濁りない瞳に涙を滲ませた。