覚えているのは、ひとつかふたつの記憶。 忘れて、引き裂いてしまいたい記憶。 リロザの言葉を、思い出す。 『貴女は、令嬢と言われても、なにひとつおかしくないな』 リロザに返事を返しながら、私は心の中で呟いた。 …令嬢、なんて。 ……もう、昔の話ですよ、と。