私から離れて教室内へ戻る直樹を立ち去る前にちらっと見てみる。



ズキン…




また、あの子…
新井さん…だっけ?直樹に近づいて行くのが見える。



狡いよ。同じクラスで、直樹と話す姿に嫉妬した。





教室へ戻り、朝のSHRを終え、すぐに1時間目が始まった。



私の頭の中はさっき見た光景で一杯。古典の教科書も開こうともせずにぼーっとしてた。


『羽鳥さんっ!教科書開かずに何してるの?』



ぼーっとしてた私を目ざとく見つけた古典の先生。



「すみません…」



注意されて教科書を開いた



「!?―ッ!!」



何…コレ…




思わずまた閉じてしまった教科書。



不審に思ったのか隣の席に座る加藤君が、身を乗り出して私に話しかける。



『羽鳥?37ページだよ。』




わかってるよ。でも…



恐る恐るもう1度教科書を開いた。




そこには、古典の文字なんか見えないくらい真っ黒にマーカーで塗り潰されているページや、大きな字で
“ハヤクワカレロ”
“オマエナンカナオキノドレイダ!”


とか、カタカナでたくさんの私を中傷する文字が書きなぐられていた。




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