『何だよ!?』



何よ…彼女なのに会いにきちゃ駄目なの?


どうして、あの子は触れる事が出来て、私は駄目なの?


私だって直樹に頭とか撫でられたいのに。




「古典の教科書、1時間目に使うから返してもらいに来たの。」



言いたい事はたくさんあるのに、言えない私。



だって上から見下ろす直樹の顔はすごく怖い顔つきになってるんだもん。




『登校してる時に言えよな。』



机の中から教科書を取り出して持って来る。



『俺、2時間目古典だから、またよろしくね。』



「…たまには、直樹が取りに来てよ。」


『やだよ。面倒臭い。』


…その面倒臭い事をほぼ毎日やっている私の立場は?



『紗英?聞こえてる?』



「聞こえてる。じゃあ後でね。」



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