幸村に付いていくと、一番西側の部屋に着いた。

「ここは?」

「真琴の部屋だ。好きに使っていい。」

その部屋はけっこう広く、襖の絵も綺麗だ。

こんなに綺麗な部屋、使っていいのかな?!

一応、侍女なんだよね?

「こんなに綺麗な部屋、私には勿体ないよ。」

苦笑いしながら、やんわり断ってみた。

幸村の表情は変わらない。

「真琴は特別な身だ。これくらい当然だろ。」

「お父様には言ってあるの?」

「ついでに佐助に言ってもらうように言ってある。」


うぅ……

この様子じゃ幸村は譲りそうにない。
どうしようかな……


「素直に甘えさせてもらえば?新人さん♪」

そんな時、私達の後ろで女の声がした。


いつの間に?!ぜんぜん気が付かなかった……!


「沙江!驚かせるな!」

「ごめんなさいね、ちょっと新人さんが気になって」


__スタイル抜群のお姉さんタイプの女の人。

歳は私より2、3歳上だろうか。

上着に描かれている桜と、高く結んであるポニーテールがよく似合う。

下は動きやすい短パン(の様なもの)。

腰に苦無がある辺り、くの一だろう。


「……どちら様ですか?」

「失礼したわ。私は、幸村様に仕えるくの一で沙江(サエ)。」

にっこり微笑んで自己紹介してくれた。

……でも、忍で微笑んだ時は何かありそ
うで怖い(汗)。

「私は、真琴です。」

「そう、真琴さんね?お互いよろしく。」

沙江さんが手を伸ばして握手を求めた。

……今回は大丈夫そうだ。握手をする。


「あぁ、そうだ。沙江、今日から真琴の警護をしてくれ。」

「承知いたしました。」

……え?警護?!