「部活忙しそうだねー。」
「あーうん、なんか大変でさぁー…」
数分後、真希の仲介により
なぜか3人仲良く弁当を食べている私たち。
日向は最近本当に疲れているようだ。
「目の下、隈出来てるよ。」
「あーうん、なんか色々あってさ…。」
苦笑いしながら溜め息を吐く日向。
どっかの中年親父かよ!
最近は日向とも普通に話せるようになった。
普通の会話の時は…。
「そーいえば琴理先輩が部員増やすとかって言ってたなー。」
「増やす…?募集じゃなくて?」
真希が焼き鮭を箸でとりながら
日向の変な言い方に眉をひそめた。
確かに変だ。
どこが変なのかっていうと、
よく分かんないけど……。
「募集すると選ぶのめんどくさいじゃん?だから先輩たちが選んで直々に…」
突然、日向が言葉を切った。
どうしたのだろう…?
「直々に…何??」
真希も不審に思ったようだ。
「…?日向君どうしたの?」
「……………。」
「日向、なんかあっ…?」
そう言って顔を覗き込んだ私は思わず固まってしまった。
いや、なんか表情に戦慄が走ってたというか
まるで脅えた子犬みたいな感じの日向は初めてだったから驚いたっていうか。
とにかく日向は喋りかけで口を開いたそのままの状態で硬直してた。
…息してる?
「来る…。」
「え?」
「もう来た…!!!」
「え?」
最後の私の問いはほとんど聞き取れなかった。
その瞬間、
日向は秒速で私の後ろに回っていたし
教室の外で何かの歓声が響いたから。


