とにかくオレは、がむしゃらに走った。ただなぜか、訳も分からず少し泣けてきた。

ただ、前を向いて走った。


『みお~!!』


辺りは、真っ暗だ。夜12時頃。


『わりぃ~待たせた。』
『遅い!』

仕方がないじゃないか、職場からは、1時間なんだし、残業終わった所なんだから。っと思ったが言わずにしておこう。

みおは、そっぽ向いている。

寒い。11月の深夜だ。思わず抱きしめた。

すると、みおが、しゃがみこんだ形で倒れ込んだ。

『おっ、おい、みお~!!』

『ごめんなさい。頭が重くて…。』
『オレこそ、ごめんな。寒いのに…。』
『ううん。平気。それより…。』


お姫様抱っこの状態のまま歩いていた。

『優貴~おろしてくれないかな。悪いし。歩けるから。』

真っ赤な顔だ。

『イヤだ。部屋までこの前連れて行く!』
オレは、真剣に言った。
待たせた事も、あったし、淋しい思いをさせてしまった事も、悔やんでいたし。

でも、正直おんぶする方が良いと思った。

一キロ先で恥ずかしいがいったん下ろし、おんぶする事にした。


『優~貴、重たくない?』

『んなわけねぇーよ。おんぶでごめんな。』

『ううん~。でも、嬉しかったよ。ね~え、優~貴、今日は、側にいてくれるよね?』

『当たり前だろう。…。みお着いたよ。』


みおのアパートに着いた。みおは、眠っていた。手を顔に向けると顔が少し熱い。風邪引かしてしまったかな。明日、病院につれて行こう。オレのせいだし。明日、1日そばに居ることにした。

みおを寝かせ、オレは、仮眠した。

翌朝、6時頃起き、目が覚めるまでみおの側で座っていた。


ウトウトしていた。

1時間後
あれ?手の温かさが伝わる。

『みお?起きたか?』

『うん。さっき。』

動き始めようとしている。

『みお。まだ動くなよ。体温計ってからだ。』
『えっ?なんで?』
『昨日、みお、なんか温かったから。体温計持って来てやるから。』

オレは、空気が読めない。みおがヤキモチ妬いていたことなど知らない。

みおが、強がっているなんて知らない。