天使の舞―前編―【完】

同じ人間の娘を愛してしまった、ウェルザとアカツキ。


二人の王子は真剣に、本気の愛でシンシアに求婚した。


それぞれの想いを、それぞれの言葉で、シンシアに伝えたのだ。


アカツキはもちろん、シンシアを妃にできると、信じて疑わなかった。


我を忘れる程に、アカツキはシンシアを愛し、そして愛されていると自負していたからだ。


まさか、シンシアがウェルザを選ぶなんて。


それは、あってはならない事だった。


何故なら覇王の座にも、着けなくなる事を意味するからだ。


何かが狂った。きっとウェルザがシンシアに良からぬ事を吹き込んだに違いない。


アカツキは、ウェルザにシンシアを強引に奪われたと思いこんでいた。


その悔しさと嫉妬をアカツキは、息子である王子アマネに託したのだ。