天使の舞―前編―【完】

もう一つは、三つの世界を統治する事。


ただし、この三つの世界を統治して、三世界の王“覇王”として君臨できるのは、天界の王か魔界の王の、どちらかであったのだ。


天界と魔界は云わば、パラレルワールドのようなもので、人間界とは次元の異なる空間に位置付けられている。


だから人間は、天使と悪魔の存在を架空のものとしているが、逆に天使と悪魔は人間の事を熟知していた。


天使と悪魔の存在を知らない人間が、覇王には成り得ないのだ。


人間と真に愛しあい、名前の契約を交わし、二人の愛が認められた時、妃となった人間には、王族の証である一際大きな翼が背中に舞い降りる。


その翼の羽ばたきが、天界と魔界に、未来を創る風をおこす。