天使の舞―前編―【完】

「おはようございますぅ。
今日も1日、よろしくお願いしまぁす。」


そう言って、宮田は話を始めた。


「え~と、今日は遅番で、笹川さんが、来まぁす。
それまでに二人で、新刊の陳列を終わらせておいて下さぁい。
ポップやレイアウトなんかは、広木さんにお任せしますぅ。
ところで…。」


宮田は彼方を見る。


「そこに居る方なんですがぁ、なんと、実は、メルヘンの店主さんなんですぅ。」


宮田に紹介されて、彼方は下を向き、薄く笑った。


そんな彼方を見て宮田は、釈然としない表情で呟く。


「・・・メルヘン。
僕の店だったような、気がするんだけどなぁ。」


なんとも気の毒な、宮田である。