天使の舞―前編―【完】

そんな乃莉子を追いかけて、悠も店の奥に足を向ける。


「おい、何でお前が奥に行く?」


彼方は未だ不機嫌さを残した声で、悠に問いかけた。


「俺がここの店員だからだ。」


「はっ!?」


「俺もここで仕事すんだよ。」


「ふっ…。仕事だと?」


彼方は、信じられないといった口振りである。


天界の王子ともあろう者が、人間界で仕事?


彼方は、可笑しささえ込み上げてくる。


そうまでして、乃莉子を手なずけたいか…。


そうであるなら。


「お前の働きぶり、見ていてやろう。」


興味本位で、彼方は呟いた。