悠は感情のままに、怒りを彼方にぶつけた。


「はぁ?ふざけるなよ!」


今にも掴み掛かりそうな勢いで、悠は乃莉子に絡む彼方の腕を払い除ける。


開店前のメルヘンに、悠の声が響いた。


最早、宮田の存在はどうでもいいらしく、悠の標的は彼方であり、彼方も悠を挑発するのを止める気はないようだ。


悠は、静かに乃莉子に問いかける。


「乃莉子。本当なのか?」


声をかけられて乃莉子はビクッと、不安に瞳を揺らした。


「私、操られたみたいになってしまって…。」


下を向いて、たどたどしく乃莉子は答える。