不躾に口を挟まれて、彼方はチラッと宮田を見下ろす。


「うるさい、何だ?」


面倒くさそうに彼方は、宮田に対して王子の威厳たっぷりに一喝した。


冷ややかに、彼方の切れ長の瞳で見下ろされて、たちまち宮田の自信は影を潜めてしまう。


「いえ・・・。」


宮田はうろたえて、矛先を乃莉子に変えた。


「ひ・・・広木さん。
とりあえず、中に入ろうかぁ。」


「はい。そうですね。
それで、店長…。
昨日といい、今日といい、遅刻してしまって、本当に申し訳ありませんでした。」


もう一度乃莉子は深々と頭を下げた。


「いいよぉ!いいよぉ!」


と手を振りながら、店に入る宮田に続いて、乃莉子も店に入る。


その乃莉子に、彼方も続く。


慌てて乃莉子は、そんな彼方を制した。


「あなたまで来る事ないのよ。
私はこれから仕事なんだから。
それと・・・。
妃とか、そういうのも、もう止めて。
悠くんだけで、充分迷惑しているのよ。」


乃莉子は小声ながらも、彼方に忠告せずにはいられなかった。