「まぁまぁ…。
そう、いきり立ちますな。
お父上様に、丸聞こえですぞ。」


玉座の前に到着して、シュカは静かに片膝を折った。


「はっ!聞こえるように言ったんだよ。」


キャスパトレイユも、シュカに倣って片膝を着いたが、頭は下げずに、ソッポを向いている。


そんな息子に父は諭すように、言葉をかけた。


「天界の王子か魔界の王子。
どちらかが、覇王の座に就かねばならんのだ。
妃の羽ばたきは、我々が欲して止まない力だからな。
覇王の職務としてきちんと管理し、三つの世界を統治しなければな。」


一旦間を置いて、ウェルザは少し可笑しそうにつけ加えた。


「だが、なに・・・簡単なこと。
人間界に行ったって、お前が人間の娘を、愛せねばよいだけの話しではないか。
人間を愛し、先に名前の契約を交わして、妃に得た方が、覇王になるのだからな。
要は、早い者勝ちだ。
そうであろう?」