そんな時、客間の扉がノックされ、来訪者が訪れた事を告げた。


おもむろに扉の方を見て乃莉子は、ゆっくりとベットから体を起こす。


「誰?」


乃莉子は、怪訝な声で扉の向こうに呼びかけた。


「俺。」


すると、明るいハスキーボイスが、意気揚々と返ってきた。


「乃莉子。開けろよ。」


その声は、当然部屋に入れる事を前提に、発せられたのだが。


「・・・。いや・・・。」


「・・・!?何でだよ!」


予想外の言葉に驚いて、ドンっと扉を叩いて、キャスパトレイユは抗議した。


「・・・。
行った方がいいわよ。
さっき王妃様が言ってた女の人達のところ。
キャスの事、待ってるらしいじゃない。
そういう人がいるのに・・・。
なんで私を妃にしようと思ったわけ?
やっぱり覇権のため?」


静かだが、有無を言わさない、凛とした乃莉子の声が、キャスパトレイユを焦らせた。


「違う!誤解だ!
乃莉子、聞いてくれ!」


必死の体で、訴えるキャスパトレイユに、タイミング悪く話しかける人物がいた。