天使の舞―前編―【完】

アカツキは、悔しそうに唇を噛む。


そんなアカツキを諭す様に、シンシアが語る。


「だってアカツキ、あなた言ったわよ。
覇王になる為に、人間の私を妃にしたいって。
確かに、私を愛してくれていたわ。
でもあなたは、私ではなくて覇権を望んだの。
あなたは真面目すぎたのよ。
あなたが切望した覇権は、望み通り手に入るわ。」


「違う!違うんだ!
俺はシンシアを妃にしたかったのだ。」


「では尚更よ。
アマネの想い、分かるでしょう?
愛する者を、妃にしたい気持ちが。」


「・・・!!」


アカツキは返す言葉をなくし、下を向いて、椅子に崩れ落ちた。


アマネが、駆け寄る。


「父上。大丈夫ですか?」


「・・・。」


アカツキに言葉はなかった。