その時、王と王妃の会話を遮って、謁見の間の大きな扉が開かれた。


「キャスパトレイユ王子。
到着にございます。」


室内に重々しい声が響き渡ると、シュカが先頭になり、四人を誘導して歩み寄って来る。


王と王妃の近くまで来たシュカは、深く一礼して横に下がった。


四人はその場でひざまづき、それを合図に、ウェルザは口を開く。


「ご苦労だったな、キャスパトレイユ。
シュカからは事後報告として、今回の件を聞いたぞ。」


「はい。
ご心配をおかけすまいと、私なりの愚考でございました。
一存で行動し、申し訳ありません。
ですがこうして無事、戻って参りました。
妃も一緒です。」


キャスは手のひらを胸に当てて、一礼した。


砕けた言い方ではなく、キャスパトレイユは礼を尽くして、丁寧に答える。


「隣に居るお嬢さんがそうなのね?
はじめまして、キャスパトレイユの母です。」


シンシアが、待ちきれないとばかりに、乃莉子に声をかけた。


「は・・・はい。
お初にお目に、かかります。
広木乃莉子です。」


突然の振りに乃莉子は驚いて、慌ててぎこちなくお辞儀をした。