天使の舞―前編―【完】

今の言葉が、乃莉子を冷静にさせてくれた。


頭の中で、もう一度、悠の言葉が繰り返される。


『どこ行くんだ?』


「…?どこへ…行く…?」


乃莉子はスッと血の気が引くのを感じた。


「お店~!」


乃莉子はダッシュした。


自分では、マッハのスピードを超える位の勢いで、走っているつもりであった。


「だから、俺も連れて行けって。
急に走り出すなよ。」


悠は余裕の笑みさえ浮かべて、乃莉子と並走していた。


明るいミルクティー色の天パが揺れて、憎らしい程に魅力的な笑顔。


「ついて来ないでよ。
女とは、関わりたくないんでしょ?」