すっかり体の自由を奪われてしまったキャスは、本気の力を出さないと大変まずい状態にある。


今のこの状況を、俺様王子のキャスも、さすがに危機だと認めていた。


あの時翼を削がれていたら、乃莉子にあんな大言壮語さえ、言えずにいたはずだ。


しかし、この状況にあっても尚、キャスの気持ちは萎えてはいなかった。


むしろ、乃莉子を助けたい気持ちが、キャスを本気にさせている。


「今、助けに行くからな。
もうちょっと待ってろよ。」


キャスは、静かに想いを言霊に載せた。