天使の舞―前編―【完】

たまたま、足を滑らせて転んだシラサギを抱き起こしたアマネは、ドキッとした。


その手首の細さ、華奢な肩、自分よりいつの間にか小さくなっている、シラサギの柔らかな体に、感情の昂りを覚えたのだ。


「シラサギ…大丈夫か?」


どぎまぎしながら、シラサギを立たせてアマネは、自分が何を望んでいるのかに気付いた。


いつもと違うアマネの表情を、シラサギはキョトンとして見つめる。


「アマネ様?」


そんなシラサギを見て、自然に体が動いた。


アマネは静かに、シラサギに口づけていたのだ。


あれから、何年の月日が流れただろうか。


今アマネは、愛しいシラサギを、自らの意思で手放さねばならない。


この階段を上りきった所に、妃にしようとしている、人間がいるのだ。