天使の舞―前編―【完】

アマネはキャスの言葉を聞いて、胸の前で腕を組んだ。


「で・・・そのまま天界で、結婚式でも挙げるつもりか?
その出で立ちは、そういうことだろう?」


キャスはニッと口を大きく横に広げて、アマネに笑って見せた。


「ほんの、普段着だ。」


そして真顔に戻り、アマネを見据え言葉を続ける。


「天界の為でも、覇王になりたいからでもない。
たまたまだったが、欲しい女を、俺はお前より先に見つけた。
アマネは覇王になる為の道具として、乃莉子が欲しいんだろ?
俺の足元にも及ばないが、お前も充分いい男だ。
他に言い寄って来る女で、妥協しろよ。
俺の恋路を邪魔するな。」